ガラスびんの魅力探訪

北海道の野菜にイタリアのバルサミコ酢を！

「NORTH FARM STOCK」というブランドを立ち上げ、
北海道と素材と手づくりにこだわった農産加工品を開発。

　実は、白亜ダイシンという会社は20年程前までは家庭用金物を扱う小売店でした。私が家業を継ぐ際、当時、岩見沢の商店街が大型店の進出でシャッター街になっていたこともあり、金物の販売以外で生計を立てられる事業を展開しようと試行錯誤した後に、たどり着いたのが北海道の食材を活かしたブランド「NORTH FARM STOCK」の立ち上げでした。「NORTH」は北海道イメージする「北」、「FARM」は「農場・農園」、「STOCK」は「特別な物・蔵出し」を意味していて、「北海道の特別な農産加工品」というメッセージを込めています。

　最初に扱ったのは農協で出会ったトマトジュース。北海道産ということで、東京の真中に向けて営業を試みましたが、思うように評価されず、諦めかけていた頃に、さまざまな人との出会いから徐々に取り引きが成立し、ある展示会に出品したことで、多くのバイヤーの目に留まり大量注文につながっていきました。その後、販売だけでなく自社で商品を開発するようになり、アイテムを増やし、今では140種類以上の商品を扱っていて、7〜8割は自社でハンドメイドで生産しています。実は、商品開発の担当は料理が大好きな私の家内なんです。

　「NORTH FARM STOCK」商品で、最もこだわっているのが北海道の材料を何か1種類は使うということ。「北海道キャロット・ラぺ」のニンジンも岩見沢の農家とタイアップして生産しています。雪国の北海道では、ニンジンの収穫時期は限られていますから、冷凍庫で保存したり、雪の下に貯蔵したものを使ったりしています。

野菜の色彩と具材の表情がダイレクトに伝わってくるデザインが評価され、
ガラスびんアワード2015で「リリー・フランキー賞」を受賞。

　おかげさまで、「NORTH FARM STOCK」の「北海道キャロット・ラぺ」と「北海道ベジ・マリネ」が、日本ガラスびん協会主催のガラスびんアワード2015で、「リリー・フランキー賞」をいただきました。受賞理由は「中味の野菜の色彩と具材の表情がダイレクトに伝わってくる、洗練されたデザイン。ガラスびんの内側の凹凸を少なくした形状は、中味を取り出しやすく工夫が施された商品」ということですが、まさにその通りだと思います。電話で受賞の知らせを聞いたのですが、本当に驚きました。

　「北海道キャロット・ラぺ」は、色鮮やかな北海道産にんじんを細長くスライスしてイタリア直輸入の有機ホワイトバルサミコ酢に漬け込みました。「北海道ベジ・マリネ」は、彩り豊かな北海道の野菜を、上品な甘みが特徴のイタリア直輸入の有機ホワイトバルサミコ酢で味付けした「NORTH FARM STOCK」特製マリネ。北海道産の野菜には、にんじん、いんげん豆、きゅうり、とうもろこしなどを選びました。いずれも、北海道育ちの野菜を引き立てるイタリア生まれのホワイトバルサミコ酢との出会いから誕生した商品で、砂糖を一切加えていません。

　ガラスびんを採用する際、いろいろな広口びんがある中で、私はこのびんを即決しました。とてもシンプルで、中の野菜の層がとてもきれいに見えます。口部から底部に向かって微妙に細くなっているラインが美しいですね。透明ラベルにプリントした商品名の欧文書体にもこだわり、大人っぽい印象に仕上がったと思っています。実は、欧文の下に描かれているさりげないイラストは、北海道の大地を表現しています。

保存性が高く、いろいろな形があって、温かいところが魅力！
私は、ガラスびんに入ったものが大好きです！

　「NORTH FARM STOCK」で最初に販売したトマトジュースの容器は、はっきり言って、ガラスびん以外に考えられませんでした。ワインボトルを使って、キャップにワインのようなシュリンクを施し、ラベルは北海道の自然をイメージさせるようクラフト素材にしました。これは、本当に良質の素材を使った美味しいトマトジュースに付加価値を付けて、より素晴らしい商品として販売するためのブランド戦略なのです。付加価値を付ける容器としては、やはり高級感をイメージさせるガラスびんがふさわしいと思いました。

　ガラスびんは保存性が高く、いろいろな形があって、温かいところが魅力です。びんが重いというのは、お年寄りにはデメリットになるかもしれませんが、私たちのように商品に対して付加価値を付けたいとなると、びんの重さはメリットになると思います。これから先も私たちは、びんにこだわって商品づくりをしていきたいと考えています。私はガラスびんに入ったものが大好きです。