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ガラスびんの魅力探訪

竹鶴政孝の想いが込められた
ウイスキー

アサヒビール株式会社

竹鶴政孝が、愛妻のリタさんを亡くした悲しみから立ち直ろうとして、
ウイスキーづくりに打ち込み、誕生したのが「スーパーニッカ」です。

 朝の連続テレビ小説「マッサン」のモデルとして注目されましたが、ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝氏の愛妻リタさんが1961年に逝去された翌年に、スーパーニッカが発売されています。聞くところによると、リタさんが亡くなられたとき、竹鶴政孝は三日三晩自室にこもり切って、誰とも会話ができないほど落ち込んでしまったとのこと。そんな自分ではいけないと、立ち直るためにウイスキーづくりに打ち込んで、誕生したのが「スーパーニッカ」だったと言われています。まさに竹鶴政孝の鎮魂の想いを込められた商品なのです。

最初のボトルはクリスタル製で、一本一本手吹きで丁寧に製造。
生産量は年間1000本程度で、「幻のウイスキー」とささやかれました。

 「ウイスキーは熟成するまでに何年もかかる。これは娘が大きくなれば嫁にやるのと一緒なのだから、立派な衣装を着せてやりたい」と、ウイスキーのボトルにもこだわりを持っていた竹鶴政孝は、以前より親交のあった各務クリスタルにボトルの製作を依頼しました。各務クリスタルの創業者の各務鉱三氏は、竹鶴政孝と同じく青年時代に単身ヨーロッパに留学しており、帰国後に意気投合したしたとのこと。ボトルのデザインは各務鉱三氏の片腕として活躍していたガラス工芸作家の佐藤潤四郎氏。竹鶴政孝はすらりと伸びた首と柔らかにふくらんだボディのボトルを見た瞬間に、「これがいい!」と言って抱きしめて離さなかったようです。この女性的なフォルムにもしかしたらリタさんを想い抱いていたのではないでしょうか。

 クリスタル製のこのボトルは一本一本手吹きで丁寧に作られ、年間1000本程度しか生産されず、「幻のウイスキー」とささやかれました。中身だけでなくボトルにも凝っていた「スーパーニッカ」は、大卒初任給が1万8000円くらいだった当時、3000円という高価格でした。2級ウイスキーが350円くらいの時代でしたので、その価値がわかりますね。

スーパーニッカ

▲初代の「スーパーニッカ」

2009年に「スーパーニッカ」をリニューアル。
イニシャルの「S」を大きく刻印してアピールしました。

 2009年には、「スーパーニッカ」をニッカの看板商品として復活させようということで、リニューアルすることになりました。現在のお客様の嗜好に合わせ、中味とともにボトルとラベルもリニューアルしています。「スーパーニッカ」として変えてはいけないフォルムはそのままに進化を感じさせようということで、ボトルの裏面に「スーパーニッカ」のイニシャル「S」の文字を大きく刻印しました。斬新感を出そうとかなり深い刻印にしましたので、ガラスびんメーカーは、成形する上で非常に苦労があったかと思います。

 2015年3月に発売しました「初号スーパーニッカ復刻版」では、1962年当初の味を再現しており、デザインもできるかぎり初号のものに近づけ、ラベルにはニッカウヰスキーのエンブレムを大きく入れました。これを懐かしく思っていただける方が非常に多く、また当時を知らない世代のお客様には、逆に新鮮に感じていただけたようです。

 また日本ガラスびん協会主催のガラスびんアワード2014で、ボトルにこだわってガラスびんの普及と啓発に取り組んだことで、「スーパーニッカ」が日本ガラス協会特別賞を受賞しました。

初号スーパーニッカ復刻版

▲「初号スーパーニッカ復刻版」

現行の「スーパーニッカ」2009年リニューアル時

▲現行の「スーパーニッカ」
2009年リニューアル時

ウイスキーを選ぶ要素の一つにボトルがあると思います。
ガラスびんのフォルムやデザインのこだわりは大切です。

 ウイスキーユーザーとしての視点が入ってしまうかもしれませんが、ウイスキーというのは気分とか雰囲気に応じて飲み分けることができる汎用性の高いお酒だと思っています。ボトルにこだわっている人が多いですね。大容量のPETボトルに入ったウイスキーを購入して、それをわざわざガラスびんに移し替えて飲んでいる方がいますね。その気持ちがよくわかるのです。

 ウイスキーを選択する要素は味と香りと、もう一つボトルもすごく大事だと私は思っています。また、こだわりのあるガラスびんはウイスキーにぴったりですね。効率性を求める飲み物は缶やPETボトルがふさわしいと思いますが、時間をかけてゆっくり飲むウイスキーはやっぱりガラスびん。ウイスキーの栓を開けるときの気持ちは、缶やPETボトルとは違います。やはりガラスびんにはこだわりたいですね。

山根卓也氏 宮崎眞氏

アサヒビール株式会社

マーケティング本部 マーケティング第二部

担当部長山根 卓也(写真左)

担当課長宮崎 眞(写真右)