自治体の取り組み事例
北海道エリア

北海道
網走市
網走市の概要
- ●人口:32,199人(令和7年1月1日住民基本台帳)
- ●世帯数:17,876世帯(同上)
- ●面積:470.84km²
(令和7年1月1日時点全国都道府県市区町村別面積調) - ●収集方法:びん単独収集
- ●収集容器:袋
- ●運搬方法:平ボディ車
- ●収集ステーション:資源物ステーション(約1,100基)、
家庭ごみステーション(約1,500基) - ●分別基準適合物引渡量:無色111.6t、茶色108.9t、
その他の色69.7t
合計290.1t (令和5年度環境省資料より)
「ごみを減らして資源を増やそう」を合言葉に、リサイクルを活性化。
市民にわかりやすい啓発方法を継続し資源物分別の徹底をめざす。
網走市では、平成11年3月に市内全域で資源物の分別収集を開始しました。現在稼働している「破砕リサイクル施設」は、それまでの最終処分施設が手狭になり、新たに平成29年4⽉より新設されたものです。網走市には焼却施設がなく、埋め立て処理となっています。そのため、可能な限り資源は資源として分別し、リサイクルすることを推進しています。現在、近隣1市5町とともに事務組合を立ち上げて新たに焼却施設をつくる協議を進めており、引き続き、分別の徹底を目指しています。 ガラスびんは市内の各地区週1回、約1,100基の資源物ステーション、一部では家庭ごみステーション(市が主体)が設置されており、各自治会で維持管理を行っています。収集車両は平ボディ車で、びん単独収集(透明な袋を使用)。リターナブルびんや化粧品びん(中身が油性やマニュキアは除外)も同様に収集されます。また、びんの他に新聞紙、雑誌、雑紙、缶についても同じ車両で収集しています。 収集車両には大型スチールコンテナが搭載されており、収集袋はその中に保管。処理場に運ばれたびん類は、スチールコンテナごとびん受け入れ貯留ヤードまで移動。びん選別台では、キャップ等の異物を除去し、リターナブルびんを抜き取ります。選別台の横にはリターナブルびんの種類別専用ケースが設置されており、わかりやすく一時保管されています。選別工程では、無色と茶色、その他の色に選別した後、ストックヤードに保管。なお、びんの残さ率は10%未満で、ひどい汚れが残っている調味料びんなど選別時に除去しています。 今後の品質向上への課題としては、ガラスびんは比較的正しく分別排出されていますが、茶びんへのタバコの吸い殻の混入が多く見受けられます。現在の資源収集方式は、びんなどの資源物に加えて、有害・危険ごみなども同じスチールコンテナで収集されているため、電池やバッテリーなどが混入するケースがあります。また、埋め立てごみの破砕処理時に電池類が混ざり、発火する事例も年間30〜40件ほど報告されており、選別を安全に行うためにも市民に注意喚起をし、正しい分別をわかりやすく告知したいと考えています。 網走市は焼却施設を持たない歴史的背景のもと、埋め立てごみの削減と、資源物リサイクルの仕組みづくりに長年取り組んできた地域です。「ごみを減らして資源を増やそう」のメッセージの通り、「資源ごみ」は「ごみ」ではなく、リサイクルに向けた大切な「資源物」です。貴重な資源と豊かな自然を守り、住みやすい環境をつくるためにも、高品質なリサイクルの実現と活性化を推進し、資源循環型社会との構築を目指してまいります。
お話を伺った
網走市市民環境部生活環境課
次長 寺口 貴広さん(中央)
主事 杉山 絢星さん(左)
愛和産業株式会社 網走市店
所長 阿部 毅善さん(右)
- 分別区分
- びん単独
リターナブルびん、ワンウェイびんを収集
化粧品びんも収集対象
- 収集容器
- 袋
指定袋はなく、びんが見える透明や
半透明袋を利用。
- 収集場所
- ステーション
約1,100基の資源物ステーションが設置されている。一部では家庭ごみステーション(約1,500基)で、びん排出が可能。
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資源物ステーション(各自治会で維持管理)
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家庭ごみステーション(各自治会で維持管理)
- 収集車両
- 平ボディ車
びんの収集はキャブオーバー⾞両(荷台ホロ付)2台。各⾞両ごとに2⼈、計4⼈で⾏っている。収集・運搬は委託業者で行う。
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収集車両ではスチールコンテナをセットし、びんの収集袋を丁寧に積み込む。
リサイクル施設へ搬入時はコンテナを一時保管ヤードへ。 -
一時保管後、フォークリフトでびん受け入れ貯留ヤードへ移動する
- 選別手段
- 手選別
びん受け入れ貯留ヤードで、リターナブルびんの抜き取りとキャップや異物除去を徹底し、選別ラインでは無色・茶色・その他の色に丁寧に選別される。
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コンテナから袋を丁寧に取り出す
-
破袋し、ワンウェイびんとリターナブルびん異物を分けるびん。作業員2名
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抜き取られたリターナブルびんや、キャップなどびん以外の素材
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びん供給コンベアで選別ラインまで収集したびんを引き上げ、色別選別へ
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ベルトコンベア上で、無色・茶色・その他の色の順で手選別を行う
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選別したびんを、色別ごとのシュートに投入する
-
一升びん、ビールびんなどのリターナブルびんは選別開始時に抜き取り、
びん受け入れ貯留ヤード横に一時保管する
- 保管設備
- ストックヤード
選別ラインの下に色別のびんストックスペースがあり、リターナブルびんは種類別に分けて屋外に保管。
-
選別ライン下に設置されているストックヤードは、外部からの雨風、ほこりなどを防ぐカーテン仕様で、びん以外のものが混⼊しないようにしている(屋内)
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各種リターナブルびんが種類別に保管
され
ている(屋外) -
網走市廃棄物処理場施設外観
品質向上のためのポイント
- ●市公式のWebサイトで分別に関する情報を随時発信。
- ●分別に関する「ごみの分け方・出し方ガイドブック」を住民全戸に配布している。
- ●市公式インスタグラムを開設し、ごみに関する情報を視覚的にわかりやすく発信している。
- ●排出ルールが守られていない場合は、違反内容を示したシールを貼り、収集せずに残置している。
- ●毎年、市内小学4年生(ほぼ全校)を対象に、社会科見学の一環としてリサイクルの施設見学を実施。また、市内にある東京農業大学で、地方からの入学者向けにごみの分別の説明やリサイクル施設見学会を行っている。
- ●毎年、町づくり懇談会などを実施し、町内会と懸案事項やごみ全般についての意見交換を行っている。他に、出前講座など要望に応じて実施している。
- ●市のごみ減量化推進キャラクターを作成して、子供に親しんでもらう工夫をしながら、Webサイトやごみのガイドブックなどを通じて、積極的に啓発活動を展開しています。
住民全戸に配布されているごみの分け方・出し方ガイドブック
ガイドブックでは、資源物の扱いを優先して記載されている
あばしりごみ通信
インスタグラムを活用し、
情報発信している
ごみの減量化を推進するためのマスコットキャラクター