店頭回収の取り組み事例
新たなびんリサイクルの
促進取り組み
日本精工硝子株式会社
「透明度」にこだわった、
自社完結型水平リサイクルを
品質の追求と
環境負荷低減の両立へ
日本精工硝子株式会社
代表取締役
三野 親慶 氏
老舗ガラスメーカーとしての歴史と理念
「デザイン性」「透明度」「品質」で成長。
B to C型直営店でガラスびんの魅力をアピール
日本精工硝子株式会社は1895年の創業以来125年もの間、時代の流れとともに様々なガラスびんを創り提供し続けています。その間、1942年には法人化し、1959年には業界に先駆けてISマシンを導入して自動化を図りました。自動化により生産能力が向上したことから、1969年から化粧品びんのカテゴリーに参入しました。時代の変遷とともに化粧品びんもガラスびんから他素材容器に移行する中、20年ほど前から食品・飲料関係にも参入し、高価格帯の商材をターゲットに目指しました。
私たちの強みは 3つあります。それは「デザイン性」と「透明度」と「品質」です。この3つにこだわって付加価値のある製品づくりを続け、商品の多様化が進む中で、パッケージで差別化を図るブランドオーナー様の戦略の流れにもうまく適合してきました。
現在は私たちの強みを化粧品びんから食料、飲料びんにも広げ、高価格、付加価値といった企業としての理念やブランドイメージを維持した上での事業展開を進めています。
2018年には大正時代に建てられた木造家屋を一部改装・復元し、ガラスびんメーカーでは珍しい消費者向け販売の直営店、「CuteGlass Shop and Gallery」をオープンしました。
商品であるガラスびんを1本1本を手に取って1本単位でご購入いただけるだけでなく、ガラスびんの魅力や美しさ、生活の中でのガラスびんの歴史も知ってもらうため、ギャラリーを併設しています。
2022年7月にはリニューアルオープンさせ、ディフューザー「Cohana Era(コハナエラ)」を量り売りで発売するとともに、「容器回収プログラム」を開始し、びんのリユースと自社完結型リサイクルプログラムを具現化しました。
5フレーバーの中身を用意
「容器回収リサイクルプログラム」の可能性
消費者に共感していただける店頭回収の仕組みは、
自己完結型の水平リサイクルの出発点
ガラスびんは何度でも水平リサイクルでき、新しいガラスびんによみがえり、持続可能な社会に貢献できる容器であることを直接消費者に届け、共感していただくために「容器回収プログラム」を始めました。
お客様に当社のマークである<S>のついた空きびんを直営店の「CuteGlass Shop and Gallery」にご持参いただき、ガラスびんの総重量に応じてポイントを付与し、お貯めいただいたポイントは同店での次回以降のお買い物にお使いいただける仕組みです。回収したびんはカレット化し、当社工場で再びガラスびんに生まれ変わります。お客様と直接コミュニケーションできるため、環境意識の向上とガラスびんを回収する習慣化にも繋がればと思っています。
一般的なガラスびんの最も多く使用している原料はカレット(再生原料)で、ガラスびん平均では原料の約75%がカレットです。カレットには自工場の工程内で発生する“工場内カレット”と行政回収等で収集される“市中カレット”があります。当社も“工場内カレット”は原料として使用していますが、高い透明度を得るために“市中カレット”は使っていません。原料に占めるカレットの比率を上げるためには、“工場内カレット”だけでは限界があるため“市中カレット”を使う必要がありますが、当社製品の特長である「透明度」を犠牲にすることができません。当社製のガラスびんであれば市中から回収した“市中カレット”であっても問題ありませんので、この「容器回収プログラム」の対象を当社製ガラスびんに限定し、“市中カレット”も加えた自己完結型の水平リサイクルに取り組むことにしました。
「容器回収プログラム」の概要
びんの重量を計ります
わかります
付与になるかをお知らせします
「透明度」と「脱炭素」の両立を目指して
透明度の高いガラスびんの水平リサイクル推進に挑戦。
ブランドオーナーとの連携も模索
カレットをガラスびんの原料として使用することで資源循環の他に、天然原料起因のCO2排出量と溶解時の省エネ効果によるエネルギー起因のCO2排出量を削減することができます。このため、化粧品ブランドオーナー様からはスコープ3の脱炭素化の取り組みの一環として、カレットの使用比率向上の要求が高まってきています。“市中カレット”の使用量を増やすことでカレットの使用比率を上げることはできますが、“市中カレット”の品質によっては「透明度」に支障が出るおそれがあります。当社製品の特長である「透明度」とのトレードオフはしたくはありませんので、自己完結型の水平リサイクルである「容器回収プログラム」を開始しました。しかしながら、直営店での店頭回収だけでは十分な量を確保することは難しい状況です。
今後は、化粧品ブランドオーナー様とのWin-Winの関係を構築し、ブランドオーナー様の環境取り組みの一環ともなる透明度の高い化粧品びん空きびんを回収できる仕組みを模索していきたいと考えています。「透明度」にこだわりながら、環境にも貢献できる水平リサイクル推進への新たな挑戦を続けていきます。
ガラスの古き良き歴史と、多様な可能性。
さまざまなかたちで輝くガラスの存在を
CuteGlass Shop and Galleryで
感じていただければと思います。
ギャラリーで展示されている
ガラス・ガラスびん
- 「CuteGlass Shop and Gallery」
- 〒541-0044 大阪市中央区伏見町2丁目4-4
[営業時間]平日 11:00~19:00
土曜日 10:00~18:00
[定休日]日曜日・祝日 - https://www.cg-shopandgallery.jp/
- 日本精工硝子株式会社
- 〒531-0061 大阪府大阪市北区長柄西1-2-25
TEL:06-6351-1604
FAX:06-6351-1648 - https://www.osg-co.jp/