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リユースの取り組み

循環型ショッピングプラットフォーム
「Loop」商品の販売開始
イオン株式会社

お客様とともに持続可能な社会の
実現に向けて
“使い捨て”から
“繰り返し”使うライフスタイルへ

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博 氏

イオン株式会社
環境・社会貢献部
部長 鈴木 隆博

イメージ写真

「Loop」 への参画について イオンの方針と合致。
お客様への循環型ライフスタイルの提案は使命

私たちイオングループは、約30 年前から持続可能な資源利用のために、資源使用量削減の取り組みを行ってきました。1991年から実施している「買い物袋持参運動」をはじめ、食品トレーやPETボトルなどの店頭での資源回収、PB 商品の包装資材の環境配慮型への転換など、店舗や商品・サービスを通じて資源循環型の新たなライフスタイルの定着にも積極的に取り組んでいます。その中で、もっと分かりやすく、実際に商品でリユースできるものがないかずっと模索をしていました。今回、「Loop」という循環型ショッピングプラットフォームに参画することで、“繰り返し” 使うライフスタイルへのシフトを提唱していますが、循環型の新たなライフスタイルの定着の推進はイオンの環境方針に沿うものであり、これまでの取り組みの一環なのです。店舗や商品・サービスを通じたお客様とのコミュニケーションができる小売業として、循環型ショッピングの実現はイオンの使命だと考えています。

2019 年の初めにテラサイクルさんからお話をいただいたタイミングでは、すでに海外の小売業の中でこの「Loop」をトライアルするという動きがあることを聞いていました。持続可能な資源利用の有効な取り組みのひとつになりうる可能性があり、イオンが目指すところと非常に親和性が高いため、その趣旨に賛同し参画の意思表明をしました。

販売と回収のスキーム お客様に理解いただき、“繰り返し”使うライフスタイルへ

2021年5月25 日から首都圏を中心に「イオン」「イオンスタイル」等の19 店舗で、この「Loop」商品の販売を開始しました。当初は「Loop」に参画するメーカー6社の13 品目から開始し、その後一部追加になっているものがありますが、まだ品目数が少ないです。今後、展開する商品の拡充と店舗数とエリアの拡大に向けて、配送や回収のオペレーションをどうするかが、「Loop」の肝になってきます。

スーパーマーケットは、ワンウエイ物流ですし、セルフショッピングという販売形態ですので、店舗形態や売り場構成等も含めて、「Loop」のシステムを導入する場合は、今までとは少し変わった形になってくると思っています。経済的に事業として持続可能なのか、容器の開発と調達にどのくらいのコストがかかるのか、どのくらいの品目数になるのか、いろいろな不確定要素がありましたが、まずは早期にスタートさせることを優先して、テラサイクルさんと調整してきました。大量販売・大量消費と言われている中で、スケールメリットは追いながらも、大量廃棄をせずにリユースすることで、環境負荷を低減させていきたいと思います。新しい販売システムですので、お客様に、「Loop」がどういうものか知ってもらうために、店頭で説明しなければなりません。従業員は「Loop」に参加した趣旨や狙いをきちんと理解した上で、丁寧に説明できなければいけません。ハード面以外にもいろんな準備が発生します。当然、われわれ販売する側は意識を変えなければいけませんし、お客様も意識を変えていただかなければいけません。そうすることで、“使い捨て” から“繰り返し” 使うライフスタイルに変わっていくと思います。単に環境に良いだけでは売れません。実際に、商品の価格や品揃えについてお客様から要望や期待の声を多くいただきます。このようなお声を真摯に受け止めて、きちんとお応えできるように改善の仕方を検討していきます。

小売店モデル 仕組み イメージ

「Loop」商品の購入動機 消費者の環境意識が、新しいリユースのスタイルを受容

「Loop」の売り場は専用什器と回収ボックスを設置した専用売り場として展開しています。現在の「Loop」商品は日用品がメインで、食品のアイテム数がまだ少ないので、これから増やしていくことを目指しています。

実際に売り場に来られたお客様には共感をいただいていると思います。特に30 代から40 代の女性の方からのご意見が多いですね。テレビで観たのでぜひ環境にいい商品を購入したいというお声が非常に多い。ただ、購入後の容器の返し方や、どのような仕組みで再利用されるのか、消費者として何をしなければならないかといった質問も多数ありました。実際、スタートして1 ヶ月、システム概要が分かりづらいというお客様の反応に、すぐに説明VTRを作って売り場で流しました。その他にいただいているのは、取り扱いアイテム数を増やしてほしいというお声です。さらに、デポジットのやりとりも多少わかりにくいというのがあります。高齢の方は、アプリを使ったデポジットの仕組みに多少の煩わしさや抵抗感があるともお聞きしています。お客様は、リユースで廃棄物が減らせると理解し、自分自身も「Loop」に参加することで環境へ貢献できると考えて、「Loop」をご利用いただいています。レジ袋が有料になったという昨今の状況が、容器にデポジットを支払うことにはフォローウインドになっているかなと思っています。

「Loop」の魅力と可能性について 機能性とデザイン性でライフスタイルを演出。
若い世代への浸透も

今回、「Loop」の商品は、20 代30 代の若い層には非常にマッチするのではないかと仮説を立てていました。でも、実際購入されているのは40 代から60 代の女性のお客様が多い。関心の高い年代層が、トライアルしているということなんですね。将来的には、20 代のお客様が、10 年後には「Loop」商品を買っていただけるように、買いやすい販売の仕方とか循環型の新たなライフスタイルを提案していくことが重要だと思っています。

容器に関しては、カワイイから、カッコイイから買いますというお声を多くいただいています。今回の「Loop」の商品は機能性に加えてデザイン性にこだわったものが多く、そこに共感されているお客様も多数いらっしゃいます。海外のカルフールなど先行している事例を見れば、容器がお洒落だし、それらがキッチンの棚に並んでいるシーンに好感をもたれる方は日本にも多いと思います。いつも買っていたお洒落なものが「Loop」商品の中にあるとなると、もう少し入り口が変わってくる可能性があるのではないかと期待しています。

「Loop」商品の売上は想定よりいいですね。今回ラインアップされているのは、ブランド力があるものが多いということもありますが、一部商品は品薄になっているくらいで、追加の対応をとれないか調整しています。デポジット込みの価格ですが中身の値段は変わらない。ちゃんとデポジットが戻ってくると理解されているお客様が多く、今回はそのようなお客様に購入いただいた結果だと推測しています。計画からすると非常にいい数字の動きだと捉えています。

リユースをきちんと回すためには、透明性が大切だと思っています。リユースシステムを回すにはデポジットが必要で、容器のコストにこれだけかかるのでデポジットはこの額ですが、空容器を返却していただければ返金します、ということをお伝えする必要があると思います。なので、プライスカードには本体価格と容器代とを分けて表記しています。

リターナブルびんを利用した商品展開について 「Loop」システムに最適なリターナブルびん。
課題は重量と耐久性

「Loop」の商品でガラスびんに入っている商品は4~5 アイテムです。ガラスびんが極端に重たいとなると、店頭で購入する場合には多少支障はあるかもしれませんね。ただ、E コマースと店頭での両方で販売することになっていますので、あまりネックにならない可能性はあります。

ガラスびんの機能や特性から、リユース性能が高い容器だと思っています。当然、中身の品質保持性や衛生性、安全性などは取り扱う上で重要なファクターです。特に、食品衛生の観点が重要です。それから、リユースするために洗浄をする必要がありますが、「Loop」の仕組みの中で回していくとき、ガラスびんはリユースに最適な容器だと考えています。昔からリターナブルびんは流通しており、お客様もそうですし、私たちとしても受け入れやすいのではないかなと思います。課題としては重量と耐久性でしょうか。もう少し軽くて割れないガラスびんが出てくることが理想です。

リターナブルびん容器を使用した商品例 イメージ リターナブルびん容器を使用した商品例 イメージ リターナブルびん容器を使用した商品例

今後に向けて 真ん中に位置する流通として、
持続的なリユースの新しい可能性を模索

「Loop」の展開店舗を秋には50店舗に拡大するということで、調整しています。リターナブルびんを使った商品開発をすることについては、今回のお客様の反応をうかがっていると少なからず一定のお客様が、こういう商品に対して関心があって実際に購入していくということを踏まえれば、十分検討する価値はあると思っています。私たちイオンの立場からすると、サステナビリティに効果がある容器を使うということも方針のひとつとしてあります。自分で容器を持っていく、容器を返しに行く、そういう行動はお客様にとっても分かりやすいものです。お客様にスムーズに、そういうライフスタイルにシフトしていただく。私たちのやるべきことは、今回のトライで明確になってきたと確信しています。

「Loop」のプラットフォームにおいて、イオンは小売業としてメーカーさんとお客様の間に位置しており、いろいろな情報も持っていて、多彩なアプローチができるポジションにいることは確かです。リターナブルびんを使った商品開発もそうですし、デザイン性の高いリターナブル容器入り商品の開発もそうです。バリューチェーン全体の中で、リユースの新しい視点、新しいライフスタイルへのシフトを提案できると思っています。「Loop」は、その第一歩という形で位置づけています。今後も、リユースの循環をもっと良くしていくための新しい仕組み作りに向けて、皆さまとともに取り組んで参ります。

【概 要】
発売日:2021年5月25日(火)
展開店舗:東京(17店舗 )、神奈川(1店舗 )、千葉(1店舗 )の「イオン」「イオンスタイル」等、合計19店舗
※上記展開店舗のうち、「おうちでイオン イオンネットスーパー」実施店舗( 計15店舗 )でも販売します。
(容器返却の承りは店頭のみとなります)
https://shop.aeon.com/netsuper/
品目数:13品目※2( メーカー6社 )
価格帯:本体価格798円( 税込877.80円 )
※3~本体価格4,100円( 税込4,510円 )
(容器代を含みます)
< Loop に関するイオン特設サイト>
https://www.aeonretail.jp/campaign/loop/

【お客さまの容器返却方法】
■イオン店頭に設置されている返却ボックスにてQRコード※4のシールを発行し、返却する使用済み容器に貼付。
■「Loop アプリ」をダウンロードし、返却する容器に貼付したQRコード※4をスキャン。
<Loop アプリダウンロードURL>(5月25日よりダウンロード可能)
https://loopmobileapp.com/ja-JP/
■返却ボックスに容器を投入。
■容器の回収をLoop にて確認後、購入時にお支払いいただいた容器代をアプリ経由で返却。(約2週間後)