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リユースの取り組み

ガラスびんリユースシステムを支える
洗びん品質
株式会社トベ商事

循環型ショッピング
プラットフォームへの参画。
新プロジェクトから洗びん事業の
活性化へ

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博 氏

株式会社トベ商事
代表取締役会長
戸部 昇

洗びんされた広口びん イメージ写真 洗びんされた広口びん

Loop Japanとの付き合いの発端と役割 びんリユースシステム構築の経験から、
「Loop」のスキームに参画

Loop Japanとのビジネスは、東京都リサイクル事業協会という私たちのリサイクルの団体に東京都から依頼が来たのがきっかけでした。リユースをしたいという団体があり、どこか洗びん会社を紹介してほしい要請がありました。そこで、協会の方で洗びんによるリユース事業にはトベ商事がふさわしい、ということで、Loop Japanの担当者に連絡を取り、2019年の春頃に始まりました。

最初の印象は、いよいよその時代が来たのかというものでした。というのも、当社では生活クラブさんやパルシステムさんと取り引きしておりまして、これからSDGsを実践するものが出てくるのではないかと思っていたんですね。Loop Japanとの当初の話でも、生活クラブさんの「グリーンシステム」などのびんリユースシステムを作り上げた経験があり、「Loop」とだいたい同じような形なので協力できますという話から始まりました。

「Loop」のスキームの中での当社の役割は回収した容器の洗浄です。Loop Japanで回収した容器が決められた洗浄ロットになると当社に送られてきます。当社では、送られてきた回収容器を洗浄・乾燥し、中身メーカーに届ける荷姿にパッケージします。回収容器についているキャップやポンプは容器を洗浄するために分離しますが、それらの処理はテラサイクルが行います。

回収容器の洗浄の対応方法と
「Loop」成功への課題
「Loop」専用洗浄設備で対応。
コストダウンには販売ボリュームが
課題に

今回、「Loop」から依頼があった対象容器は食品以外のものが多くあり、洗浄に苦労しました。これまでのリターナブルびんは、中身メーカーが充填前にリンシング(すすぎ)しますので、洗浄後に未乾燥で出荷していましたが、「Loop」では、乾燥工程が加わり、ここで相当時間を要します。なので、実際には「Loop」の回収容器だけを専用洗浄設備を使って対応しています。内容物は粘度の高いものもあるので、作業は難しく、例えばコンディショナーは想定以上に粘り気があって苦労しました。また、「Loop」の場合は、クリーンブースを設置しないといけませんでしたが、品質を含めてシステムが良好に回る確証が得られ、スタートしたわけです。

当社の立場から見て、「Loop」のシステムは安全性などに問題ないと思います。「Loop」事業が成功するかどうかは、品質と安全性とともに全体でどのくらい売れるかという販売ボリューム次第だと思います。ボリュームがないと、やはり1本当たりの経費は当然上がってきますので、スケールメリットによるコストダウンができません。「Loop」は、当初東京周辺で展開しますが、その後は他地域に展開エリアを拡大していくと思いますので、「Loop」の要求に応えられる設備を作っていけるかということも課題になると思います。

ECモデル 仕組み イメージ
リターナブルびん容器を使用した商品例 イメージ リターナブルびん容器を使用した商品例 イメージ リターナブルびん容器を使用した商品例

「Loop」による変革への期待 ステークホルダー連携での
新リユースシステムへの期待

「Loop」の事業については、びん商業界では静観している状態です。びん商の多くが一升びんの洗びんを中心に行っていますが、当社は、あらゆる容器や、あらゆるびん形に対応するという考えでやっていましたので、「Loop」に適応できています。

今、環境問題が叫ばれている日本の社会の中で、リユースに関してまったく何もしないわけにいきません。例えば、実現可能なリユース計画みたいなものを作らないといけない。令和何年までにリユース比率を20%にするとか、令和50年には少なくとも50%にまで高めるとか、リユース計画を推進しながら具体的な環境戦略を立てなければならない状況になるのではないかと思っています。

ブランドオーナー、流通、びんメーカー、消費者を含めたステークホルダー全員で、新しいリユース商品のシステムを作り始めるのかもしれないという期待はあります。しかし現状では、ブランドオーナーも脱プラスチックの対策として、リサイクル目標を掲げて目標を宣言していますが、ワンウェイ容器として代替素材にガラスびんを選ぶブランドオーナーはいないですね。しかし、リユース計画を見ると意外にガラスびんが多く、次にステンレス容器なので、今後ガラスびんは期待されると思います。

ガラスびんの優位性と環境 消費の後始末システムが必要。
ガラスびんリユースが重要なカギ

びん商としては、安全・安心が売りだと思っています。例えば、海洋汚染の問題。リサイクルしていても、あれだけの大量の廃棄物が海に流れている。リユースシステムを活用することでワンウェイ容器を減らし、脱プラスチックを促進するという意味では、この「Loop」のスタートはいいことだと思います。

ガラスびんは仮りに捨てられても、自然界に害を与えませんし、他の汚染物質を吸着しないので環境汚染も起こしません。ところがプラスチックは限りなくマイクロ化して生態系に影響を与えます。プラスチックはそれなりの後始末システムを作り上げなければと考えます。それを含めトータルで考えたら、ガラスびんの方が環境に対するコストは安いのではないかと改めて思っています。

ガラスびんの生産量は先進国では日本以外は伸びていて、日本だけが減少していると聞きます。ヨーロッパの人たちは消費が増えても、ごみは減る仕組みにしていかないと存続できないと思っています。残念ながら、日本の場合はたくさん買えばたくさんごみが出るのは当たり前と思っています。だからこそ、その消費した後始末の文化をきちんと作り上げないといけません。それには、やはりリユースが重要なカギになると思っています。

びん商の役割 リターナブルびんから手軽にできる
消費者のSDGs貢献を促進

当社は創業128年。洗びん事業は当社の礎の事業であり、今でいうリユースの先駆けだと自負しています。この洗びん事業も今から8年ぐらい前には、リターナブルびんの減少から閉鎖を考えたことがありました。しかし、当社では創業時の精神に立ち返り、いろいろな形状のびんに対応できるように新しく設備投資を行い、リユース事業をさらに発展させようと努力をしています。

例えば、プラスチックごみ問題に対しても、後始末できるようなびんリユースの体制を生産者も消費者も、もちろんびん商も、ともにスクラムを組んで作り上げていかなければいけません。このリユースシステムが環境保全の基本であることを社会にもっと広める努力が必要です。そうすれば環境問題に参加する人も出てくるでしょうし、それを販売戦略とすることもできると思っています。

当社には、洗いびんを新びんと同等の品質で使えるようにしていく責任があると思っています。それには、少しでもリユースがうまく回るように、消費者の方にもびんの中をきちんとすすいで出してもらうお願いをする必要があります。また、消費者の方が「Loop」に登録して利用することで、SDGsや海洋プラスチックごみ問題などに家にいながら生活スタイルで貢献できます。企業ももちろん、消費者のSDGs貢献が今後は必要ではないでしょうか。それを進めるには、リユースシステムが最適だと思います。まだ始まったばかりですが、今の「Loop」の動きは消費者に注目されています。やはり単にリターナブルびんを作ればリユースされるわけでもないし、要は販売スキームの問題です。お客様はリターナブルびんの商品があれば、それを買うわけですから。

新規導入した大型洗びん機 イメージ 新規導入した大型洗びん機

今後の洗びん事業の活性化について ガラスびんに新しいビジネスの兆候、
そして、
新しいリユースの機運へ

国内でも「Loop」のようなことを始めようという方々はいます。例えば九州では、業務用で床屋さんに配送される18L入りのシャンプー容器がリユースできないだろうかと言っている人たちがいます。それがビジネスとして成り立つか、成り立たないかが分岐点だと思いますが、そういう「Loop」のような発想が今後いろんな形で出てくると思っています。

実は当社にも、いろいろな事業の引き合いが増え新しい得意先にリユース容器で提案したい、あとは逆にリユース容器を買ってほしい、というお話をいただいています。リユースするには洗浄テストなどのいろんな作業があり、他の会社だとどうしても手間取ってしまいます。当社の場合は、回収から洗浄、保管までノウハウを持っていますから、相談いただけたら、もちろんできますと答えています。現状でも問い合わせが多く、今後もどんどん増えてくるのではないかと予想しています。これは小さな兆候で、ビジネスとしてはまだ産声を上げたばかりですが、この中の1つでも2つでも成功して広がっていけばいいと思っています。

容器をリユースする以上は、安全で安心して使われる品質にしなければなりません。当社ではリユースのニーズに対応する新たな設備を構築しましたので、ぜひ安心して使っていただきたいとPRしていく所存です。

リターナブルびんには期待しています。先ほども言いましたように、ガラスびんは捨てられても自然界に悪影響を与えるわけでもないし、一番安全な容器だと思っています。愛されるべきガラスびんですね。そうでなければ、ガラスびんの歴史はこれほど続いていませんから。

EU はガラスびんの生産量が増えているという話がありましたが、別に消費者にとってはプラスチック容器がガラスびんに変わってもなんの問題もありません。今後の社会の中で、ガラスびんの役割をしっかり見つめながら、私たちとしてもリユースの新しい機運を高めていければと思っているところです。

洗びんの工程 イメージ
洗びんの工程
回収・受け入れ

回収されたリターナブルびん
は専用ケースで一次保管

回収・受け入れ イメージ
びん投入

びんを人手でコンベアライン
に投入します

びん投入 イメージ
大型洗びん機

全長約12mの全自動機がびん
の内外を洗浄します

大型洗びん機 イメージ
口部・胴部
目視検査

洗びん機から出たびんの外観を
検査します

口部・胴部目視検査 イメージ
水滴除去装置

洗びん後に残った水滴をエアノズルで吹き払います

水滴除去装置 イメージ
滅菌灯ライン

ライン通過中にUV殺菌灯に
より所定レベルまで滅菌します

滅菌灯ライン イメージ
温びん機ライン

温めてびん内外の乾燥を
促進します

温びん機ライン イメージ
グリップ反転機

びんを反転して内部水滴等を落
下させ、その後上下を戻します

グリップ反転機 イメージ
びん全面検査機

光学カメラによる検査を全数
のびんで行います

びん全面検査機
外観検査・
箱詰め作業

外観の目視検査をし、良品を
箱に詰めます

外観検査・箱詰め作業 イメージ
口部最終目視検査

箱詰めされたびんの口部天面
を目視検査します

口部最終目視検査 イメージ
段ボール 封函機

箱のフラップをたたみ、
テープでの封函をします

段ボール 封函機 イメージ
パレット積み込み
ロボット

ロボットによる全自動積み付
けがパレット上で行われます

パレット積み込みロボット
製品倉庫

完成した製品パレットは
倉庫に入れられ出荷を待ちます

出荷
出荷
株式会社トベ商事

本社
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