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リユースの取り組み

新たなリユース容器活用の
ビジネスモデルの萌芽
株式会社斗々屋

量り売りから、ごみゼロの
ライフスタイル提案へ。
びんリユース活用の
ビジネスモデルとしての可能性。

株式会社斗々屋 京都本店店長 堀 真理子 さん

株式会社斗々屋
京都本店店長
堀 真理子 さん

株式会社斗々屋 広報部 ノイハウス 萌菜 さん

株式会社斗々屋
広報部
ノイハウス 萌菜 さん

京都本店の店内風景 イメージ 京都本店の店内風景

「量り売り」から広がる未来のための今の暮らし 環境意識の高まりを受け、大規模店も出店

斗々屋は、「ゼロ・ウェイスト」、「オーガニック」、そして「フェアトレード」をキーワードに、ゼロ・ウェイスト・ショッピング・システムを展開している会社です。事業内容としては大きく3つあります。1つは「オーガニックやフェアトレードの卸売り事業」。もう1つが「量り売りのノウハウ提供、コンサルタント的な事業」。3つめが「実際の小売店舗の運営」です。

当社の成り立ちとしましては、代表の梅田が卸事業としてオーガニックな食材を日本に輸入していたとき、食材の過剰梱包により包装材がごみとして捨てられ、環境の負荷となることに矛盾を感じ、今から5年前にゼロ・ウェイストな卸売り、量り売り専用の卸売しに切り替えたことです。すでに量り売りの小売販売のビジネスプランもありましたが、当時はまだ、消費者も他のビジネス関係者もゼロ・ウェイストへの理解が広まっておらず、2019年9月、代々木に日曜日のみ営業のモデルショップ「nue by Totoya」を開店しました。そこでのお客様の支持を受け、2021年1月に「nue by Totoya国分寺店」を、2021年7月31日に京都にスーパーマーケット規模の店舗をオープンしました。

私たちの店舗は、小売に関しては量り売りですから、容器を持参いただくというのを基本にしています。それは紙袋であっても、プラスチックの袋であっても、使い捨てをなくすためとお客様にお伝えしています。京都本店では、デポジット制でガラスびんやステンレス容器のレンタルもしており、そこが私たちのリユースの軸だと思っています。私たちが強調したいのは、卸売りについても量り売り店専門であることです。例えば、新規取り引き先と商談する際、仕入れた商品をどのような形で一般消費者に届けるかなどを契約の条件としてご了承いただいた上で、取り引きしています。現在、卸売り先は40軒ほど、プラスで約15軒のレストランや料理人さんなどを合わせると50軒以上ですね。

また、斗々屋以外にも、多くの方々が量り売りを軸としたゼロ・ウェイストのお店をオープンできるように、オンライン講座や現場研修を実施しています。ゼロ・ウェイストで納品できる生産者さんと、それをゼロ・ウェイストで販売したい方々、共通の意志を持った生産者さんと売り手の両方をつなぐポジションとして、今後は両方の方々をもっとネットワーク化して活性化を図りたいと考えています。

京都本店の店内入り口に並ぶ生鮮商品が目を惹きつける イメージ 京都本店の
店内入り口に並ぶ生鮮商品が
目を惹きつける

ゼロ・ウェイスト店舗の仕組みと内容 ごみゼロを目指して。新スタイルのスーパーマーケットへ

国分寺店での取り扱いはオーガニックの玄米やドライフルーツ、ナッツなどの乾物がメインですが、京都本店では生鮮も扱っています。京都本店のコンセプトは、簡単に言えば新スタイルのスーパーマーケットですね。量り売り店でありつつ、スーパーマーケットでもある。お客様には日常的なお買い物の場として認識いただけるように努めています。だから、生鮮3品もお総菜も扱っています。商品構成を考えるときにはスーパー各会社の商品ラインナップも参考にしながら、お客様が期待しそうなものはできるだけ揃える努力をしました。ただし、化粧品についてはゼロ・ウェイストが非常に難しく、プラスチックフリーな容器を使った化粧品を取り扱っています。店舗では一般的なスーパーマーケットのように、店内入口で最初に目に付くのが青果となるようレイアウトを試みています。それは、野菜を置くことによって季節感が演出でき、集客効果にもつながるからです。もちろんオーガニックや無農薬ですので、旬の野菜しか販売していません。青果による季節効果は、一般スーパーよりも色濃く出ていると思います。

大規模店の出店に京都を選んだ理由は、まずは、京都府と京都市のフードロス削減への取り組みや環境意識の高さ、そして今後連携することも期待していること。他には、今まで卸してきた飲食店など京都方面が多かったという関係性と家賃の問題もありました。東京で借りた場合と比べると家賃軽減効果が高く、家賃に多くのお金を掛けるリスクを回避し、まずは京都でスタートすることにしました。京都本店の内装に関しても、もちろん持続可能な形で壁も床も自然の素材を使用しています。例えば木材は、利用後の廃材をリユースやリサイクルできる素材という基準から選んでいます。

店舗には、特許出願中の特別仕様カートを用意しています。計量した商品が置ける折りたたみの天板をつけたり、空容器と商品の入った容器を分けたり、バッグを提げられるフックが付いていたりと、工夫しました。お客様からもとても好評です。

特別仕様の店舗内カートは、天板も多目的に使え便利 イメージ
特別仕様の店舗内カートは、天板も多目的に使え便利 イメージ

特別仕様の店舗内カートは、天板も多目的に使え便利

京都本店で目指すこと 地道な努力と生産者の協力で、品質を守りながら包装材削減へ

京都本店で京都市内から仕入れているものは、直接配達に来ていただくか、私たちが通いのバッグや袋を使って受け取りに行くというシステムになっており、ごみの削減が実現できています。これが遠方になると、宅配便の利用などでどうしても段ボールのごみが出てしまいます。また、プラスチックの包装が必要になる商品もたくさんあります。ゼロ・ウェイスト・スーパーだからといってごみが一切出ないかというとそれには無理がありますが、相当少ないんじゃないかなと思っています。もちろん、商品の品質を維持するのは大前提です。そこを犠牲にはできませんが、できる限りごみを減らす努力をすること自体が「ゼロ・ウェイスト」だと思います。

生産者の方にもご協力をいただいています。例えば、オーガニックでやっている方であれば本当に苦労して育てた作物ですから、その商品を最高の状態で消費者に届けたいという思いがあります。中には今までごみのことなんか考えたこともないという方もいらっしゃいますが、ごみ削減の対応をお願いしています。

ゼロ・ウェイスト・スーパーを開店して見えてきた課題 ごみゼロのためのリユースの理念を、
わかりやすくお客様へ伝えたい

京都本店オープン後、おかげさまで多くのお客様にご利用いただいており、好スタートを切れたと実感しています。もちろんオープン間もないので、初めてのお客様が多くいらっしゃいます。特にお店でやり方がわからないという方は今のところあまりいらっしゃらないので、どちらかというと念のためお声がけしているという感じです。最初はお店のコンセプトを説明して買い物の仕方を説明します。しかし、お客様の立場からするとたくさんの情報を聞くのが面倒になられるケースもあります。伝えたいことを、短い時間でうまく伝えられるよう臨機応変に接客をしています。

デポジット容器の仕組みについても、デポジット容器ですと伝えて通じる方もいれば、デポジットって何ですか?という方もおられ、リユースという考え方をご理解いただくのは、なかなか難しいこともあります。

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店舗でのガラスびんリユースシステム お客様へのリユース意識の浸透へ

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デポジット表示のガラスびん容器

事前情報がなにもなくてご来店されるお客様は、もちろんご自身の容器は持っておられません。また、持って来た容器のサイズが合わなかったという常連のお客様もいらっしゃいます。そこでレンタルのデポジット付き容器をご活用いただけるようにしています。デポジット容器はのガラスびんは5種類あります。びんに充填した状態で販売している商品は牛乳とヨーグルトです。細口びんにも充填して販売しようと考えていましたが、スクリューキャップ仕様でしたので保存状態の悪化を懸念して、今はびんに充填した状態での販売は控えています。普通のデポジット貸し出しびんはお客様が好きなものを入れて購入してもらい、次回の買い物の際に返してもらっています。デポジットは150円に設定しています。びんには「これはデポジット容器です。返却循環利用にご協力ください。斗々屋」と書いたシールが貼られていて、150円で借りることができ、返却すると150円が返ってくるシステムです。

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デポジット表示のガラスびん容器

ガラスびんの洗浄については、びん問屋さんと検討した上で、しばらくはレストラン仕様の業務用洗浄機で洗うことにしました。専門家の指導で洗浄機で洗う方が、温度で言えば高温、中までちゃんとお湯が通るものであれば遜色なくきれいになりますと教えていただきました。今後、回収びんがある程度の量に達したときには、洗びん業者さんにお願いするつもりでいます。もちろん、このガラスびんを利用すると決める際、洗浄可能かびん問屋さんでのテストでOKが出たものしか採用していません。

もう1つ、販売什器として利用しているびんがあります。一升びんに商品が入っていて、ワンショットメジャーの器具をびんに取り付け、ひっくり返して量り売り什器として使っています。中身がなくなったら新しい一升びんを取り付けますが、この一升びんはリユースされているものです。

イメージイメージ 一升びんを什器として利用しています
イメージ 容器を計量後にRFIDラベルを貼れば、
次回以降も中身の重さだけが計量される仕組み
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容器を計量後にRFIDラベルを貼れば、
次回以降も中身の重さだけが計量される仕組み

今後に向けて “ビジネス拡大が、ごみゼロの普及に繋がる”思いで事業を推進

今後、私たち斗々屋が期待することは、今回の京都本店のような大きな規模の店が成功することで、今のノウハウをマニュアル化してフランチャイズ展開をする可能性を持つことです。いろいろな企業さんが量り売りを始めるとなった場合、ゼロ・ウェイストもそこでマッチングして事業化するというのが一番です。加えて、斗々屋にとってビジネスのスケールを大きくする意味合いと、ゼロ・ウェイストという考え方を社会に普及していく、という2つの意味合いもあります。ビジネスの拡大は、量り売りの店が増えることで斗々屋が卸す食材を求めるお客様も増えますし、結果的には、きちんとしたゼロ・ウェイスト、きちんと資源の循環を求める、そういう企業が増えたらいいなと思います。

引き続き、国分寺店は小さめな今までの規模で、京都本店はスケールの大きなケースとして営業していくつもりです。持続可能な循環型のショッピングとライフスタイルを提案し定着させるために、今後も生産者や消費者の間に立って着実に事業を進めていきたいと考えています。

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株式会社斗々屋(Totoya Inc.)
株式会社斗々屋(Totoya Inc.)

nue by Totoya国分寺店(直営店)
〒185-0022 
東京都国分寺市東元町2-20-10 カフェスロー内

斗々屋京都本店(ゼロ・ウェイスト・スーパー)
〒602-0862 
京都府京都市上京区河原町通丸太町上る出水町252番地 
大澤事務所ビル 1F

https://totoya-zerowaste.com/