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リユースの取り組み

新たなびんリユースの
促進取り組み事例
男山株式会社

リターナブルびん回収の
新しい「場」を提供。
楽しく取り組み、リユースの
見える化と地域資源循環を

男山株式会社 総務部 企画課 主任 金森 徹諭 氏、男山株式会社 取締役 山崎 五良 氏

男山株式会社
総務部 企画課 主任
金森 徹諭

男山株式会社
取締役
山崎 五良

イメージ写真

「男山株式会社」の理念 地元に愛されるために、伝統の日本酒を造り続ける「男山」

私たちは、約135年前に「山崎酒造」として北海道で創業しました。その後、三代目の時代に会社名を「男山株式会社」に変更し現在に至ります。私たち「男山」にとって一番大事にしているのは、地元の人々です。私たちがお酒を出荷しているうちの約60%が道内で、その半分近くは旭川エリアです。だから地元のためにあまり高いお酒は売りたくない。地元の方々の雇用も含めて、地域に貢献したいと思っています。

地産地消も大切にしたいと考えています。いま現在、酒造米は道産米が半分くらいですが、できるものから道産米に切り替えています。やはり、味を重視しているので、味を変えてまで道産米に変更するという判断はしていませんが、お酒の品質を大事にしながら切り替えて行く予定です。お米以外でいうと、仕込み水は地元の大雪山系の水を汲んでから塩素を抜く処理をして使っています。その仕込み水は、地元の方にも無料で開放し多くのみなさんに水を汲みに来ていただいています。また、酒蔵開放というお祭りを年に1回、2月の寒い時期に開催して1日約1万人のお客様にご来場いただいています。地元を大切にし、地元に愛されたい。それは旭川市の会社であるがゆえのアイデンティティであり、地元で成長させていただいた恩返しです。地元の自然の恵みをきちんと大切に使っていいお酒を造る。それを誇りとして、みなさんに愛されたいと思っています。

かつて使用していた酒米を蒸す甑(こしき) イメージ かつて使用していた酒米を蒸す甑(こしき)
2種類のタンクが並ぶ発酵室 イメージ 2種類のタンクが並ぶ発酵室
延命長寿の水。近くに無料の給水場がある イメージ 延命長寿の水。近くに無料の給水場がある

「みんなのマイボトルメンバー制度」の仕組みと内容 びん回収を遊び心で楽しむ、
捨てられるリターナブルびんの再利用

北海道は甲類焼酎文化ですが、旭川市の方々は日本酒をよく飲まれますね。だから、一升びんは他の地域より利用頻度は高いのではと思います。実際、スーパーでも一升びんがたくさん並んでいます。そんな中、お酒のびんを回収する会員制度「みんなのマイボトルメンバー制度」というものを、2021年7月6日にスタートしました。たぶん、今の子どもたちは全く知らないと思いますが、昔はびんを酒屋さんに持っていくと10円もらえる、という仕組みがありましたよね。最近の子供たちに「びん、どうしてる?」と聞くと、「水曜日、資源ごみの日に捨てる」と答えると思います。それはそれで正しいのですが、はたして水曜日の資源ごみとして回収されたものが、本当に再利用されているのか、どう再利用されているのかなかなか分かりづらい。そういうこともあり単純にまだまだ使えるびんがあるんじゃないかという発想で始めた制度です。

丸正の一升びんの茶色と緑色、Rマーク720mlびんの茶色と緑色、これらのびんを持って来てくれた方にポイントを付与し、36ポイントが貯まるとお酒と交換するというシンプルな仕組みです。持って来てもらうからには何かしらインセンティブがあった方がいいのではないかと思ったのですが、現金を渡すことは極力したくない。単に保証金(デポジット)制ではなく、お酒をプレゼントするという話になりました。遊び心を持たせたかったんですね。単純に、“持って来ました”で終わるのではなくて、“何本持ってきたら、あとちょっとで貯まるね”という風にしたかった。例えばですが、コーヒーショップの何個ハンコが貯まったら1杯無料というのをヒントにしてみました。うちの会社では使わないような透明びんとか黒色や青色もびんも持ってこられたら回収しますが、それは0ポイントです。実は開始1ヶ月で、36ポイント達成した個人のお客さんがいらっしゃいます!

資源ごみの日に出すより、うちで回収すれば何かプラスになる。それがお金じゃなくてお酒と交換できるというサービスとして、お客様にとってプラスαになればいいな、と思ってやっています。オペレーション的に負荷が掛かっているというようなことは、今はありません。長く続けられるようリユースのシンプルなサイクルとして運用しています。

告知ポスターを返却する資料館の入り口や専用レジに掲示 イメージ
告知ポスターを返却する資料館の入り口や専用レジに掲示 イメージ

告知ポスターを返却する
資料館の入り口や専用レジに掲示

制度開始で見えてきたこと 「もったいない」精神から、リユースの見える化。
地域貢献も考慮

私たちは、新びんと回収びんとを使い分けていません。確かに贈答用は新びんだけを使っていますが、それ以外は基本的に回収びんが足りなければ新びんで補うというスタンスなので、この商品が回収びん100%というのもありません。一升びんの回収びん使用比率は90%以上なので、ほとんどが回収びんを使った商品ですが、回収びんを集めるのに困っているということでもなく、単純に「もったいない」という気持ちからスタートした制度です。うちにびんを持って来たら、うちで洗浄して使われる、びんの回収の先が見えるようにしたいという目的がありました。

実は、5年前に倉庫を改築して、そのときに洗びん機って大きいので撤去して全部新びんにしようか、という話も出ました。しかし、ここにあるもので使えるものを使わないという選択肢はない、と。さらに、コスト計算したら新びんと回収びんと同じかもしれないが回収びんを使うことで、そこに働く人を地元から雇えるので、地元雇用にも繋がります。洗びんに携わるコストは地元に還元する気持ちで。回収びんを使うことは、地元貢献にもつながります。

「みんなのマイボトルメンバー制度」で期待すること 目的は、地元に回収の「場」を提供。
リユースサイクルの習慣化へ

この「みんなのマイボトルメンバー制度」は、本数をたくさん集めるためにやっているわけではありません。本数は目標にしておらず、どちらかと言うと、水曜日に捨てていた人がまだ使えると思って持っていく「場」があればいいな、というものです。一応、本数はチェックしていますが、別に1000本、2000本と集まったからすごいということではなく、気楽に持って来られる「場」を提供することが主眼です。

このリユースのループがつながって、旭川市で消費したお酒のびんをもう1回旭川市で回収して、またお酒になって買っていただいて、また飲み終わったら持って来てもらう。そのサイクルを何回も何回も旭川市の中で回していきたいという思いを持っています。

私たちが小さい時にびんを持っていった酒屋さんという場所は、多くありません。でも、私たちの「場」を通して、家でお父さんお母さんが飲んで空きびんができたら、ほら「男山」に持っていくぞ、という風に、幼い頃から肌で感じてもらいたい。私たちがずっと続けていたら、びんは「男山」に持っていく、という流れが続いていくと思うんです。ちゃんと続いていく「場」が各家庭の習慣として引き継がれるといいなと思いますね。実際には、みなさんが持って来られる一升びんは、本州のお酒が多いです。意外とうちの商品の比率は少ない(笑)。もともと北海道の方は道外のお酒を飲む傾向が強いんです。道内のお酒を飲まれる割合は2割くらいですかね。

びんの返却場所にもポスターが掲示されてます。専用のP箱が設置され直接返却する流れです イメージ

びんの返却場所にもポスターが掲示されてます。
専用のP箱が設置され直接返却する流れです。

びんの返却場所にもポスターが掲示されてます。専用のP箱が設置され直接返却する流れです イメージ

ガラスびんの魅力と可能性 日本酒の歴史を支えてきたガラスびん。多様な機能性が魅力

日本酒にとってガラスびんは長い歴史の中で使われてきました。日本酒の繊細な味わいや個性などがガラスびんによって保護されますし、衛生品質面においても優れた容器ですね。加えて、びんはリターナブル容器としては、順応力の高い容器だと思います。それを使うことで資源も節約できますし、GHG、CO2の排出量も削減できます。正直に言うと、私たちはリターナブルびんが捨てられることが「もったいない」から使っているだけです。

北海道は清酒の生産本数よりも回収びんの方が多いんです。清酒は生産地と消費地が異なることが多く、そのため、一升びんも使用される本数と回収される本数が異なり、地域によっては回収びんの大きな需給ギャップが発生します。幸いにも、北海道はそのギャップが小さいので、うまく回収びんの需給が回りやすいというのはあります。そういう意味でも私たちは恵まれていて、捨てられたものがあったら使おうという単純な発想です。

新びんとリターナブルびんによって男山ブランドのお酒が生まれています イメージ 新びんとリターナブルびんによって
男山ブランドのお酒が生まれています
お土産用に3本セットも販売されています イメージ お土産用に3本セットも
販売されています
金賞受賞の純米大吟醸 イメージ 金賞受賞の純米大吟醸

今後について 回収を通じて、地域とつながる強い絆。
リユースが常識となる旭川市へ

まだ始めたばかりの制度ですが、男山ブランドへのつながりや影響という点で見ると、面白いと思うのは、実際飲まれているお客様と直接コミュニケーションができるようになるところです。もちろん、会社の売店で販売するときは直接お客様と話しますが、町の酒屋さんやスーパーで買ったお客様もここに空きびんを持ってくれば、直接コミュニケーションできるようになります。それは、「男山」にとってもいいことであり、より地元のお酒と意識してもらえるということです。その関係が、私たち「男山」の基盤になり、もっともっと地元とのつながりが強い会社になれたらと思いますね。

今後も「もったいない」という気持ちと「地元貢献」の意識を持って、この「みんなのマイボトルメンバー制度」をできるだけ長く続けたいと思っています。またこの制度を通して、地域の方々とオープンでダイレクトなコミュニケーションができる会社でありたいと考えています。
「男山の扉はいつでも開いてるぜ」っていう感じですかね。まあ、店の営業時間は、9時~5時ですけど(笑)。

マイボトル制度 イメージ

「マイボトル制度」

丸正の一升びんの茶色と緑色、Rマーク720mlびんの茶色と緑色、これらの空びんを持参した方に1ポイントを付与し、36ポイントが貯まると、「男山」のお酒と交換できる。
優待として、北海道の酒びんの場合はポイント2倍の付与がある。

「男山株式会社」の歴史と、酒造り資料館について イメージ

「男山株式会社」の歴史と、酒造り資料館について

約135年前に「山崎酒造」として、北海道で創業。当初から、本州でも造られていた「男山」という銘柄の日本酒を醸造していたが、本州の酒蔵と比べると歴史が浅いことから、三代目の時代に「男山」のルーツ探しを開始。そうして辿り着いたのは、長年「男山」の伝統を引き継いできた伊丹の山本家という家系。そこはもう酒造りはやめていたが、「男山」を継きたいと申し出て、さらに「男山」の資料館を作りたいとの話をし、山本家から本家の「男山」を「山崎酒造」が引き継ぐ。そのタイミングで会社名を「男山株式会社」に変更。会社自体の歴史は約135年だが、「男山」としての歴史は、350年を超えている。

資料館の展示室 イメージ 資料館の展示室
たくさんの受賞履歴が飾ってあります。金賞受賞は国内だけではなく海外でも イメージたくさんの受賞履歴が飾ってあります。金賞受賞は国内だけではなく海外でも イメージ
たくさんの受賞履歴が飾ってあります。金賞受賞は国内だけではなく海外でも イメージたくさんの受賞履歴が飾ってあります。金賞受賞は国内だけではなく海外でも イメージ

たくさんの受賞履歴が飾ってあります。
金賞受賞は国内だけではなく海外でも

大きな杉玉を飾る入り口 イメージ 大きな杉玉を飾る入り口
樽小屋 イメージ 樽小屋
男山株式会社 イメージ

男山株式会社

〒079-8412 北海道旭川市永山2条7丁目1番33号
TEL:0166-48-1931
FAX:0166-48-1910

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